「日本海の呼称」に関する『朝鮮日報』の記事について

過日、私は「日本海の呼称」に関して次の5点を内容とする意見を『朝鮮日報』に出しました。

  1. 歴史的経緯からすれば、「日本海」という名称が最初に出てくるのは、マテオ・リッチが一六〇二年に中国で作成した「坤輿万国全図」であり、一八世紀にはむしろヨーロッパで国際的呼称として Sea of Japan が定着する。「日本海」という呼称は日本がつけたものではない。
  2. しかし、日本が韓国を併合する前後になると「我国が之(日本海)を称して日本領海と称するも敢て背理にあらざるべし」(松波仁一郎東大教授)というような主張が強くなり、日韓併合後は「日本海」と呼ぶことを強制され、教科書の記述も「日本海」に統一された。韓国の人々が「日本海」の呼称を忌避するのは当然であろう。
  3. 国際的呼称は、誰もが心おきなく呼べるものにすべきであり、Japan Seaという名前は換えた方がよい。同様に The East Sea も適切ではない。この海は、日本からみれば西ないし北にあるし、ロシアから見れば南にあるからである。
  4. 私は平和と環境を目指すという意味で、The Green Sea がよいと思うが、みんなが意見を出し合って決めればよい。
  5. ただし、各国で何と呼ぶかはその国に任せるべきだ。例えば新潟市の中学校の校歌を調べてみると、約三分の一の学校の校歌の歌詞に日本海という名前が出てくる大変親しまれた呼称である。決して日本の領海だと思って呼んでるわけではない。東海という呼称も韓国では国歌にも出てくる大変親しまれた呼称である。地理的呼称というのは一つの文化でもある。

『朝鮮日報』は、このうち 1. と 5. を除いて、2. 3. 4. の部分の概要を紹介しました。

『産経新聞』(9月11日)はこの記事を見て、「邦人学者”日本海”を否定」との見出しで、私の主張なるものを紹介しました。同紙を見た人々から、当日だけで新潟大学及び私に対して50通を超えるメール・電話・ファックスが来ました。

両紙が伝える私の意見というのは大事な部分を捨象した不正確なもので、その結果多くの読者に誤解を与えることになった面があり、残念に思います。私の意見の全体は上述の通りですので、ここに紹介させていただきます。
(2002.9.16,古厩忠夫